ステップ4:システムを把握する

顧客の要求を確実に仕様にできる要件定義マニュアルで説明される次のステップは「システムを把握する」です。要件を捉える4つのステップの最後のステップとなります。このステップでは機能モデル、データモデル、そして必要な場合にはドメインモデルを把握します。

機能モデル

機能モデルはシステムが持つ機能を洗い出したものであり、ユースケースから利用されるもの、外部システムからのイベントに対応するもの(イベントによって状態遷移が起き、その状態遷移に伴って発生する作用のこと)、またはその両方に対応するものがあります。また、ここで洗い出される機能はICONIXロバストネス分析をした場合のコントローラに対応すると考えられます(コントローラの方が粒度が小さいことが予想されるため、1対1で対応するわけではない)。

データモデル

システムの中で利用する情報をデータモデルとして表現します。画面・帳票モデル、イベントモデルから情報を抽出し、論理モデルとして定義します。クラス図で表現します。ここでのデータモデルはあくまでも論理レベルのデータであり、データの物理設計を意識する必要はありません。

ドメインモデル

システムが対象とする業務の特性によってはドメインモデルを作成します。これはオプションであり、機能モデルとデータモデルだけでもよいですし、ドメインモデルを使うことで整理できる場合に作成します。サンプルシステムの統合EMSでは、障害情報を管理して、障害情報を上位伝搬する処理を持つようなドメインモデルを抽出することで上手く構造を表現することができます。

機能複合モデルによる整理

機能複合モデルとは、機能を中心に配置し、機能を利用するユースケースまたはイベントと、機能が扱うデータまたはドメインクラスとの関係を1つの図として表現するものです。この整理によって、漏れがないことを確認することができます。